看護師長だった私が施設面接で見ていたこと|採用される人・されない人の違い

看護師の働き方

面接で見ていたのは、施設経験の有無ではありませんでした

福祉施設の採用面接では、「当施設の理念に共感していただけますか」「どのように働きたいですか」といった質問がよく聞かれます。多くの転職者は、ここに向けて綺麗な答えを準備していきます。

でも、看護師長として何十人もの面接をしてきた私が本当に見ていたのは、施設経験があるかどうかでも、看護スキルが高いかどうかでもありませんでした。

30年以上看護師をやってきて、老健・特養・訪問入浴を経験し、採用にも関わってきた立場から、今回は面接官が実際に何を見ていたか、本音でお伝えします。

私が必ず聞いていた質問は2つだけ

面接でマナーや志望動機を聞くのは当然です。でも、私が本当に判断材料にしていたのは、次の2つの質問への答え方でした。

  • 「福祉施設にどんなイメージを持っていますか?」
  • 「ここでは、どんな働き方をしたいと考えていますか?」

この2つを組み合わせると、その人が施設という現場をどう理解しているか、そして入職後にどう動くつもりなのかが、かなり見えてきます。

質問①「福祉施設のイメージ」で見ていたこと

施設未経験の看護師にこの質問をすると、ほとんどの方が同じような答えをします。

「利用者さんとゆっくり関わりたい」「一人ひとりに向き合える」

もちろん、これは悪い答えではありません。でも、ここで「介護士さんと一緒に支える場所」という発想が出てくる人は、正直少数派です。

福祉施設は、看護師と利用者の一対一の関係だけで成り立っている場所ではありません。介護士、ケアマネ、相談員、リハビリ職など、いろいろな職種が関わり合って、初めて利用者さんの生活が支えられています。

「利用者さんと向き合いたい」という気持ちだけで来てしまうと、現場に入ってから「思っていたのと違う」と感じやすくなります。

質問②「どんな働き方をしたいか」で見ていたこと

1つ目の質問で施設のイメージを聞いたあと、必ず重ねて聞いていたのが「どんな働き方をしたいか」でした。

ここで「看護業務に専念したい」という答えが返ってきた場合は、正直、少し気になります。

福祉施設では、看護師の専門性だけをやっていれば済む、という働き方は基本的にありません。看護の仕事もしながら、介護的な部分も一緒に担う場面が必ず出てきます。

逆に「介護の部分も含めて、何でも担っていきたい」という姿勢が見える人は、施設知識がまだ浅くても、現場で伸びていく可能性が高いと感じていました。

なぜこの2問が大事なのか|「ものさし」で人を測らないこと

看護師は医療の視点で動きます。介護士は生活支援の視点で動きます。どちらが正しいというわけではなく、ただ役割が違うだけです。

ただ、「看護師である自分の方が知識がある」という物差しのまま施設に入ってしまうと、介護士さんとの間に少しずつ軋轢が生まれてしまいます。これは、本人に悪気がなくても起きてしまうことです。

面接で2つの質問をしていたのは、その人が「自分の物差し」を施設に持ち込みそうな人かどうかを、入職前に見極めたかったからです。

とはいえ、看護師としての専門性も必要

ここまで読むと、「とにかく介護士さんに合わせればいい」と思われるかもしれません。でも、それも正確ではありません。

福祉施設でも、感染対策や利用者さんの状態変化への気づき、介護士さんへの教育といった、看護師としての専門性は普通に求められます

つまり、看護師としての専門性を発揮しながら、同時に介護の仕事もする。この両方を同時に求められるのが、施設という現場の本当のところです。これは決して「楽」という話ではありません。ただ、事前に知っておけば、身構える必要のないことでもあります。

この記事を書いた理由

この話は、単なる面接対策のつもりで書いたわけではありません。

施設に入ったあとに、看護師さんと介護士さんの間で起きる小さな軋轢を、できるだけ減らしたい。面接の段階で一度立ち止まって考えてもらうことが、その後の現場での関係を変えると思っています。

もし今、施設への転職を考えている方がいたら、面接で「福祉施設のイメージ」を聞かれたとき、利用者さんとの関わりの話だけで終わらせず、「介護士さんたちと一緒に支える場所」という視点も加えてみてください。それだけで、採用する側の見る目は変わるはずです。

施設という現場そのものについて、もう少し詳しく知りたい方はこちらもどうぞ。

「病院より楽そう」で施設転職すると後悔する理由|30年看護師が本音で解説




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