「病院より楽そう」で施設転職すると後悔する理由|30年看護師が本音で解説

看護師の働き方

「病院より楽そう」は本当か?

病院勤務に疲れて、福祉施設への転職を考える看護師は多いです。夜勤がない、急変が少ない、委員会や研修から解放される…そんなイメージを持っている方もいると思います。

私が病院から施設へ移ったとき、一番驚いたのは「目的」が根本から違うことでした。

病院では「治す」ことがゴールでした。でも施設に入った瞬間、そのゴールが消えました。ここでは治らない人が大半です。悪化しないように、その人らしく生活できるように支える。それが目的です。この転換に、正直しばらく戸惑いました。

30年以上看護師をやってきて、老健・特養・訪問入浴すべてを経験した私が、転職前に知っておいてほしいことを現場の本音でお伝えします。

まず介護保険の仕組みをざっくり理解しておく

福祉施設で働く前に、介護保険の基本的な仕組みを知っておくことを強くおすすめします。病院では関係なかったことが、施設では日常になるからです。

ポイントはここです。

介護施設は介護保険制度の中で運営されています。利用者さんの介護度やサービス内容によって介護報酬が決まるため、現場では「生活を支える」という視点と制度への理解が必要になります。

つまり現場では、こういう視点が必要になります。

  • 利用者のADL(日常生活動作)が低下した
  • 介助量が増えた
  • 介護度の区分変更を申請して、介護量と報酬を合わせる

病院では「治す」ことがゴールでした。施設では「その人の生活を支える」ことがゴールであり、介護保険という制度の中で動いています。この視点の転換が、最初のうちは戸惑いになります。

難しく考える必要はありません。ただ、「施設は介護保険で動いている」という前提を持って働くと、現場の判断や動き方が理解しやすくなります。

多職種連携は病院とは別物

病院にも多職種連携はあります。でも、福祉施設の多職種連携は構成メンバーも文化も別物だと思っておいた方がいいです。

一番大きいのは、介護士と看護師の教育背景の違いです。

看護師は医療の視点で動きます。介護士は生活支援の視点で動きます。どちらが正しいわけではありませんが、この違いを理解せずに「なんでこういう対応をするんだろう」と感じ続けると、現場がしんどくなります。

施設に転職したら、まず介護士の仕事観を知ることから始めると、連携がスムーズになります。看護師としての専門性を押し付けず、お互いの強みを活かす感覚が大事です。

私も最初は「なんでこんな対応をするんだろう」と感じることがありました。でも介護士さんには介護士さんの専門性があります。お互いの視点の違いを理解できるようになってから、仕事がずっとやりやすくなりました。

実は、この「物差しの違い」は採用の面接でも見ています。施設の面接でどんな点を見ていたかは、こちらにまとめました。

施設転職で採用される人・されない人|看護師長が見ていたポイント

「委員会から解放されたい」で転職すると逆効果になることも

病院の委員会・研修・勉強会に疲れて施設を選ぶ看護師は少なくありません。気持ちはよくわかります。

ただ、注意が必要です。

福祉施設は病院に比べて看護師の人数が少ないです。人数が少ない分、一人ひとりの役割が広くなります。委員会や勉強会の体制が整っていない施設では、逆に「看護師が全部やらなければならない」状況になることもあります。

転職活動のときは、看護業務の内容だけでなく、委員会・勉強会・研修の体制も必ず確認してください。面接で聞きにくいと感じるかもしれませんが、ここを確認しないで入ると後悔します。

認知症ケアの知識があると圧倒的に強い

福祉施設では認知症の利用者さんと関わる機会が病院より格段に増えます。

認知症ケアの基本的な知識と関わり方を知っているだけで、現場での対応力が全然違います。転職前に少し勉強しておくと、早い段階で「この看護師、頼りになる」と思ってもらえます。

特にバリデーション(認知症の方の感情に寄り添うコミュニケーション技法)は知っておくと使える場面が多いです。

転職前のチェックリスト

  • 介護保険の仕組みをざっくり理解しているか
  • 介護士との連携に抵抗がないか(または学ぶ気持ちがあるか)
  • 委員会・勉強会・研修の体制を面接で確認したか
  • 看護師の人数と役割分担を確認したか
  • 認知症ケアの基本知識があるか

まとめ

病院から福祉施設への転職は、環境が変わるだけでなく仕事の文化ごと変わる転職です。

  • 介護保険の仕組みを知っておくと現場の動きが理解しやすい
  • 多職種連携は病院とは別物・介護士の文化を知ることから始める
  • 委員会問題は施設によって全然違うので必ず確認する
  • 認知症ケアの知識があると即戦力になれる

「病院より楽そう」だけで選ぶと後悔することもあります。でも、きちんと準備して転職すれば、福祉施設での働き方は本当に自分に合っていると感じる人も多いです。

私自身、老健・特養・訪問入浴を経験してきた中で、今の派遣×訪問入浴という働き方にたどり着きました。その話は別の記事にまとめています。

訪問入浴の看護師の仕事内容とは?現役派遣ナースが2ヶ月働いてわかった実態




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